推薦者

黒龍酒造株式会社

氷温熟成により、 最高峰の日本酒を生み出した黒龍酒蔵。 酒造りへの探究心を探る。

日本酒の品質を長期間保つために開発されたSAKE CELLAR®。「マイナス5度」という氷温®保存が可能な日本酒専用のセラーだ。さまざまな酒蔵を訪れ、日本酒による温度管理の大切さや酒造りにおけるこだわりなどについて話を聞いていく。

8代目蔵元 水野 直人 様
目次
  1. 氷温熟成によって生まれた、唯一無二のしなやかさ。
  2. 造り続ける。伝え続ける。
  3. 存在を広め、価値を高める。日本酒を、世界が認める称号へ。

今回、訪れたのは福井県にある「黒龍酒造」だ。創業は文化元年(1804年)。200年以上の歴史を持つその蔵元は、広大な九頭竜川のほとりにある。

酒造りを行う本社に加え、貯蔵から瓶詰、出荷までを一貫して行う「兼定島 酒造りの里」という施設も保有。敷地内には巨大な貯蔵庫が立ち並び、マイナス5度の氷温、10度、15度の低温……と、製造したすべての日本酒が銘柄ごとに適温で管理されている。

1. 創業からの歴史・経緯

氷温熟成によって生まれた、唯一無二のしなやかさ。

「氷温管理と聞いて、まず私が思い浮かべたのがこの銘柄でした」そう言って8代目代表である水野氏が見せてくれたのは、黒龍酒蔵が2018年9月に発表した新ブランド「無二」だ。最高級純米大吟醸酒の原酒を、3年から6年かけてじっくりと氷温熟成させたヴィンテージ酒。大吟醸酒のフレッシュな爽やかさに熟成香が加わった、独特の香りが特徴的な逸品だ。

黒龍ブランドとして最高峰を誇る「無二」に、氷温熟成という手法を選んだ理由は何故なのだろうか。

「常温で熟成すると酸化の進みが速く、数年後には老香(ひねか)だけが強く残ってしまいます。しかし、氷温で管理することで熟成の進行がゆるやかになり、旨味、甘味、渋味、酸味といった、いくつもの味覚が時間をかけて調和していくんです。この奥行きのある柔らかさは、新酒には決して出せない味わい。年度によって味や香りは多少異なりますが、その差がまた、飽きない楽しさを与えてくれます」

本漆塗の木箱に収められ、すべての製品にロットナンバーが印字されている「無二」。氷温で保存すれば、10年、20年先まで、その美味しさを保つことができるらしい。

「マイナス5度」までの氷温管理が可能なSAKE CELLARなら、「無二」のような氷温熟成酒も容易に保存ができる。

「『無二』は、日本酒を熟成して楽しむという新しい文化を広めたいという想いから造ったもの。SAKE CELLAR は、その文化を広める一端を担ってくれると期待しています」

2. 酒蔵としてのこだわり

造り続ける。伝え続ける。

しかし、期待を抱く一方で、「温度管理の機能が良くなっただけで日本酒の保存に関する課題がすべて解消するのは難しいと思います」とも話す水野氏。

「SAKE CELLARが普及すれば、『無二』をはじめ、氷温で保存すべき日本酒が適正に管理されるようになるでしょう。しかし、それ以上に大切なのは、私たち造り手側が、正しい知識を世の中に広めていくことだと考えています。日本酒に対する価値観は蔵元によって異なるもの。氷温保存が最適な銘柄もあれば、常温熟成を良しとする銘柄、氷温保存することで良さが損なわれる銘柄もあります。

『マイナス5度』まで温度管理が可能になったとしても、温度管理の正しい知識がなければ、本当の意味で日本酒本来の美味さを保つことは難しいでしょうね。本当に大切なのは、正しい知識を広め、造り手それぞれの価値観を伝えていくことだ」と語る水野氏。その背景には、彼の若かりし頃の体験があるという。

「30年ほど前の話です。その頃の私は日本酒の販売よりも冷蔵庫の売り込みに必死でした」冷蔵庫の売り込み……?私たちは一瞬首をひねったが、その真意を聞いて深く頷いた。

「当時、私たちの日本酒を購入したいという方のほとんどが、不適切な状態で日本酒を保存していました。温度管理がずさんだと、せっかく卸した日本酒の質はたちまち下がってしまう。丹精込めて造った日本酒を守るために、製品を売る前にまず『黒龍の酒を買っていただけるなら、まずは保存環境を整えてください』と、お願いすることからはじめたのです。温度管理を誤ると日本酒の品質がどれだけ劣化するのか。どういった保存状況が最適なのか。そして、具体的な冷蔵庫の製品案内まで。何度も繰り返し説明し、賛同を得て……」

それは決して並大抵の努力ではなかったはずだ。酒造りのみならず、その先にある販売や流通に対する探究をやめない姿勢こそ、黒龍酒蔵が全国で高く評価されている由縁だろう。

3. 日本酒セラーに期待すること

存在を広め、価値を高める。
日本酒を、世界が認める称号へ。

この10年で、日本酒が海外で飲まれる機会は格段に増えた。しかし水野氏は、「ワインと比べれば、日本酒の認知はまだまだ低い」と話す。

「海外でも日本酒の認知が高まったとはいえ、まだまだ、興味本位や珍しさから日本酒を購入する方が多いように感じています。需要が高くない分、販売店側の知識も浅く、生酒が常温で陳列されていたり、氷温で保存すべき日本酒が15度前後のワインセラーにまとめて保管されたりすることも珍しくありません。このままでは、世界に日本酒本来の美味しさが伝わらない……そんな危機感も感じています」

そう話しながらも、水野氏はその状況を絶対的な危機だとは捉えていない。

「私が温度管理の大切さを説き、冷蔵庫の販売からはじめたときと同じように、海外でも保存方法に関する適切な情報を伝え続ければ、時間はかかっても状況は必ず改善されます」そう強く断言した。

「日本におけるワインと同じですよ。私の幼少期は、日本でのワインの価値は高くありませんでした。でも、現在は高級酒として扱われていますよね。自宅にワインセラーを持つ人が随分増えましたし、倉庫会社がワインセラーのレンタルサービスをはじめたという話も耳にしています。この変化こそ、私たちが海外でやっていくべきことなんです。時間はかかるかもしれませんが、日本酒がグローバルに親しまれるアルコールになるよう活動を続けたいですね」

黒龍酒造株式会社
代表者
水野 直人
住所
福井県吉田郡永平寺町松岡春日1-38
電話番号
0776-61-6110
公式サイト
http://www.kokuryu.co.jp/

日本酒の美味しさを維持する温度管理をしていますか?

SAKE CELLAR®は、日本酒の美味しさを最大限に保つために開発された日本酒セラーです。
プレミアムな日本酒の本来の美味しさを保つことができます。